なんでもないまいにち

なーんでもない毎日の記録。
家族だったり、友達だったり、…だったり
そん時の、気持ちやあったこと
綴っていきます。

母と女

あたしは母子家庭で育った。


あたしが、知ってる限り

母は、女だった。



幼いときから、母の女の顔を見てた。


親ってバカだから

子供は何にもしらないと考えるんだろう。



あたしは、全部しってた。



夜中にひっそりいなくなる母


下着に甘い香りの香水をつけ

でかける母


「mikoにも、ひとつあげるよ」



小さな、いい香りのする瓶を

ひとつもらった記憶。



こっそり、母のポケベルを見た。


うみにいこう。




母がいない夜、寂しくて

母の写真を1枚手に持ち、ふとんに

もぐって泣いた、あたし。



ドレッサーのイスにすわり

ワインを少しづつ飲みながら

ラジカセで歌が流れてた。


母は泣いていた。



あたしは、その姿をただ見てた。

高校生だった。


布団の中で、母の写真をにぎり

ひっそり泣くあたしはもぅいなかった。



でも、母は泣いてた。


バカだ。男と別れたんだろう。

悲しい女だ…



あたしは18で出産した。



そんな娘は、あの時

母をバカだと思った、あたしの年齢に

ちかづく。



遅れた母の日だといい


あたしの欲しがった

ものをくれた。


うれしかった。




あたしは思う。


このお気に入りの洋服を着て

綺麗なイヤリングをつけて



あたしはどこに行く

誰に会う。




…彼に会いたい。




今思う。


母は、娘のあたしと2人


小さな古いアパートでひっそり暮らし


寂しかったのだろう。


なにより、女でいたかったんだろう。

女の喜びを忘れたくなかったんだろう。



男の腕に抱かれたかったんだろう。




彼の事を想い、お酒を飲む夜


娘はあたしの背中を見て

何を感じるんだろう。



あの時の母の姿は自分だ。




あたし達は


女である前に母親だ。



それでも

母親である前に女なんだと…




彼の腕が恋しい。